Double Overtime

思った事や体験談を適当に。

太陽の光り、月の灯かり 夕暮れに誰と黄昏る

中学時代の友人とNFL観戦に行った時の話をしよう。

それは意外と最近、2016年の12月11日にあった49ers対Jets戦に一緒に行った時のことだ。試合の内容及び結果はどこぞやのアーカイブ等で見れるので、ここでは割愛する。(ざっくり言うと「途中まで勝ってた情けナイナーズが4Qで追いつかれ、OTで逆転負け」という、Jetsファン得またはNinersファンからしたら残念極まりないお約束的展開な試合だった。)

 

中学生の頃はサンタクララに住んでいたのだけど、その時はすぐ近所でNFLチーム、しかもNinersがプレイする日が来るなんて夢にも思わなかった。それどころか、NFLの試合に行ける日が来るとも思っていなかった。当時のホームはCandlestickだったし、それにアメフトのチケットは高いし、大人になってもアメリカにいると思ってなかったってのもあった。一度は行ってみたいなと思っていつつも、当時それは単なる夢でしかなかった。

 

その一緒に行った友人(以下M)というのがかなりイイ奴で、当時殆ど英語が喋れなかった自分に根気よく付き合ってくれた。二人はいつも一緒だった。一緒に陸上部に入部した。好きな人の話とかしたり、授業の話をしたり、一緒に昼ご飯を食べたり、部活に行ったりとごく普通の友人関係だった。

日本の高校受験で都内の某高校に受かり、自分は日本に帰国することになった。Mと離れるのは寂しかったが、帰国してからも、Mは自分に「当時良く好んで食べていた」Twixとクリスタルガイザーの水(ペットボトル500ml)をわざわざ送ってくれた。単価2-3ドル程度の物なのに無駄に重いもんで、当時ですら送料は50ドル近かった。本当に驚いた。イイ奴過ぎるだろM・・・。あとは写真を同封して文通したりした。当時付き合っていた人とのツーショット写真とかお互いに入れたり。若いw 今の時代なら海外にいる人ともメッセンジャーやメール、Facebook等のSNSで気軽に無料で繋がれるが、あの時代はそんな便利な物など無かった。経済的な負担もかかる。よって、お互いがかなり努力しない限りは続かない。自分達も例に漏れず、大学入学の少し前に一度Santa Cruzで遊んだ以降、自分はLAの大学に入学し、Mは地元の大学に進学し、そのままフェードアウトしていった。

 

転機は2015年にやってきた。ベイエリアに旅行に行く事になっていたので色々準備中、ふとMの事を思い出したのだ。Mの下の名前はさておき、苗字はかなり平凡な苗字だし、諸事情により名前が変わっている可能性だってある。ググったところで出てくるとも思えなかった。ところが、ダメ元でググってみたところ、見事に本人にヒットした。写真付きの新聞記事と、とあるイベントへの募金のお願いページだった。見た目もあまり変わってないので本人に間違いない。そこで無事に「再会」を果たすことができた。Mは突然の再会に凄く驚いていたし、その間実に20年のブランクがあった。それを経て見事に再会できた事を互いに喜び、「じゃあ今度一緒に野球とアメフトを観に行こう」と約束をし、15年の夏に一緒にAthletics戦を観戦した後、「次はNiners戦だね」ということで、シーズン中唯一勝てるかもしれない?と思ったこの試合を選んで行くことにしたのだった。

 

Mの実家はLevi's Stadiumから徒歩圏内だった。試合の日は住人以外は駐車厳禁となる一帯に停められるという超VIP待遇w 実家の隣のM姉宅に車を停め、M姉に会場まで送ってもらった。中学時代は一人で行くにはちょっと遠かったMの実家に足を運んだのはこれが初めてだった。奴の部屋の窓にSharksの看板が掲げてあるのが見えて、ちょっと苦笑した。(MはSharksファンだ。よって基本ホッケーの話は一切しないw)そして、前回の野球観戦の時も嬉しかったが、二人で一緒にNFLの試合を観ることができる幸せと喜びで一杯だった。当時はお互い子供だったし、自分に至ってはロクに英語も話せなかったのに、今こうやって一緒に自分達が稼いだ金で試合を観に来たんだぞ!と。ビールも飲んじゃうぜ!もう二人とも大人なんだぜwというわけで、正直試合の結果がどっちに転んでも、ここに二人で来れた時点でもう幸せだ!と思って挑んだ・・・はずが、会場は意外と寒かった・・・。ビールどころの話じゃないwww しかも、暖を取るつもりで買ったクッソ高い肉まんが、びっくりするほど冷たかった・・・。頭にきたので、肉まんごと店員に投げつけてやりたくなる気持ちを抑えるのに必死だった。更に試合の内容と結果が前述の通りである。泣きっ面に蜂だ。「なんだかなぁ」「残念な試合内容だったね」とぼやきながら帰路についた。帰りは二人で歩くことにした。

 

会場からの道は、遊園地の脇に流れる小川というか用水路?沿いの道だった。よくドラマとかに出てくるような河川敷のような雰囲気だ。夕暮れの空にこの上なくマッチしている。「ここは子供の頃、よく犬連れて姉ちゃんと散歩に来たんだよな。あと、姉ちゃんとよく二人で走ってたなー。」とMが語りだした。向こう岸に目をやり、かつての二人と犬が仲良く走っている姿を想像した。スタジアムが無かった頃、ここはどんな風景だったんだろう。そして自分も、「あの頃は英語が話せなかったから言えなかったんだけど・・・」と、当時自分が抱えていた問題を吐露した。Mは驚いていた。「そんな事があったんだ。気づかなかった。ごめんよ。」って。でも、自分は言いたくても言えなかったし、もしそれでも身振り手振りで何かしら奴に助けを求めていたら、奴ならきっと受け止めてくれていたかもしれない。「25年ぐらい遅くなっちゃったけど、聞いてくれてありがとう。未だ解決した訳じゃないけど、もう大人になったし大丈夫だよ。多分。」そう言ってMを見ると、Mは微笑んでいた。ああ、やっぱり友達でよかった。少なくとも中学時代の自分でも、人を見る目はあったんだなと実感した。そこに20+年の付き合いという時間の重みを感じた。

 

現在Mはサンフランシスコ市内で暮らしている。年内にはまた会いに行く予定だ。途中20年というブランクがあったものの、その後は頻繁に連絡もとっているし、年に数回は会っている。これから先はずっと友達だ、きっと。いや、絶対に。