Double Overtime

思った事や体験談を適当に。

実際に行ってみないと分からないこと

先入観。それは大勢の人が少なからず持ち合わせているものかもしれない。

かくいう自分もそのうちの一人だったりする。

 

「NHLのアリーナ巡り」とかいう、数少ないNHLクラスタ以外には何の羨ましさも感じないであろう趣味を持つ自分が行く土地のうち、いくつかは「何故今の時期(基本冬)そこに行くの?」と質問されるような場所ということは多々ある。

答えはただ一つ。

「そこにNHLのアリーナがあるから」

 ただ、それらの街には行ったことが無い。自分にとっては未知の土地。

地方都市なだけに、アジア人が行ったら差別されたりするんだろうか・・・という不安は常に付きまとっていた。

 

2016年1月末、東海岸一帯を大寒波が襲った時、私はBuffaloにいた。NWHLの記念すべき第一回All Star Gameが開催されると知って、急遽参戦することにしたのだ。正直元祖バッファローウィングを食べるぐらいしか期待していなかったのだが、レストランのウェイトレスからバーテンダー、お客さん、ファン、もちろんNWHLの選手達と触れ合い、思いがけない優しさに感動した。こちらに関しては後日詳しく書こうと思う。

 

2016年の11月にはSt. Louisに行った。中部に行くのは初だったし、大した食事もないだろうと思っていたし、Bluesの試合以外ではBudweiserの工場見学ぐらいしか期待してなかったのだが、ここでも人々は優しくフレンドリーに受け入れてくれ、またBBQやクレープ、洗練されたハンバーガーなど、想像を超えるレベルの食事に満足した。あれならLAやNYにあってもおかしくない。いや、むしろ欲しい。

 

2017年1月と2月にはDCとフィラデルフィアに行った。それぞれ本当に練習と試合にしか行かなかったのだけど、どちらでも現地のファンから「LAから来たの?」と驚かれ、いざ選手が来た時には「折角なんだから前の方に行きなよ!」って、いい場所で待機させてくれたし、待ち時間には色々とホッケーの話をしたり、実に好意的だった。

 

その直後に行ったDetroitには正直驚いた。ダウンタウンは治安が悪いという前評判ばかり耳に入っていてかなり警戒していたのだが、実際にダウンタウンに足を運んでみると、お洒落なコーヒー屋や雑貨屋、本屋などが点在していた。「これからこの街は発展するぞ」という意気込みを感じたし、また次回訪れる時には、もっと楽しい街になるんじゃないかという期待が持てるような雰囲気だった。それに車の運転マナーが意外にもおとなしく、むしろ自分の方が悪いんじゃないかと苦笑した。

 

先日行ったのはRaleigh(North Carolina)だった。「NCに行く」と言うと、大半の人から「何故?NCのどこ?」と聞かれたのだが、Raleighと伝えると、「何故Charlotteじゃないのw」と口々に言われた。そっちにアリーナがあるから仕方ない。ただ、とあるアジア系の友人が「実はNC出身なんだよね」と言っていて、てっきりCAかハワイ出身だと思っていたので驚きつつ調べてみると、NCでは80年代にアジアからの移民を積極的に受け入れていたのだという。実際に行ってみると、人々はとても人懐こく、また、アジア人だからという差別は全く無かった。しばらくして気づいたのだが、時折「ようこそ」という日本語が目に飛び込んできた。どうやらRaleighの最近のスローガンは「Raleighは誰でも受け入れます。いらっしゃいませ」という物らしく、そのポスターが街中の至るところに貼ってあった。思ったよりもリベラルな街だったのである。

 

実際に街を歩いていると、向こうからやってきたホームレスのような風貌の男性に道を譲られたり、目の前を歩いていたおばさんが、突然屈んで1セント銅貨を拾い上げてこちらに微笑んできた。「ラッキーペニーね!」とニコニコしながら、それをこちらに手渡してきた。思いがけない展開に困惑していると、「私の母がね、いい事があったらそれを誰にでも分けてあげなさい、って言ってたの。だから受け取って。」と。全く知らない人から受け取ったペニーは、なんかとても暖かい感じがした。

 

更にレストランやバー、ブリュワリーも小洒落た感じの店が多く、それこそLAにあってもおかしくない、いやむしろあって欲しいレベルの店も多々あった。NC名産の物を取り扱っているお土産屋さんはモールの中にあったが、店員のおばさんがとても親切で、色々説明してくれたり試食をさせてくれたりしてありがたかった。

 

実際に行くまでは「どうせ田舎だしなぁ・・・。」とか「差別されたら嫌だなぁ」など思ったりもするんだけれど、実際に現地に行ってみると、その先々に住む人達の優しさに触れ、土地の料理に舌鼓を打ち、気づけば「また行きたいな」と思っている自分がいつもそこにいるのだ。

 

だからやっぱりこの趣味は止められない。さて、次はどこに行こうか。